SUS304とSUS303を比較

   

公開日:2022.10.12、最終更新日:2023/10/23

ステンレスには200もの種類が存在しています。
その中でも最も流通量が多いSUS304とSUS303ですが、
加工性が異なるため、材料費まで含めたトータルコストに違いが出ることがよくあります。
今回はその原因と傾向をわかりやすく解説してみたいと思います。

SUS304/SUS303

SUS304の加工性を向上させたSUS303の方が材料費は若干高いが、切削性がよく、トータルコストは下げやすい。

・特徴

比較表
SUS304は溶接に向いている。SUS303は溶接する事が困難だが加工性が良く材料単価が約1.2倍高い。

SUS304…最も一般的なステンレス鋼。耐食性、溶接性に優れるが、加工硬化を起こしやすい。他ステンレス金属はSUS304をベースに各合金元素を増減させることで誕生している為、SUS304は最も代表的なステンレス材とされている。

SUS303…SUS304をベースに硫黄、リンを添加し、被削性を向上させたステンレス鋼。デメリットはSUS304と比較すると、耐食性、溶接性は劣る。

溶接性に優れているSUS304

SUS304溶接部品
SUS304溶接部品
SUS304溶接部品2
溶接箇所
SUS304溶接部品3
部品全体

当社ではSUS304部品の「切削加工」から「溶接」まで一貫対応しております。上記部品は自動車の排気部品です。パイプ部分と排出部品を溶接しています。
(SUS303も溶接自体は可能ですが、SUS304と比較してSUS303は接合性が劣るので、溶接の後工程がある場合はSUS304が使われる事が多いです。)

・化学成分の比較表

CSiMnPSNiCrMo
SUS3040.08以下1.00以下2.00以下0.045以下0.03以下8.00~
10.50
18.00~
12.00
SUS3030.15以下1.00以下2.00以下0.20以下0.15以下8.00~10.0017.00~19.000.60以下
SUS303のみMo(モリブデン)を含んでいる。またSUS303は、C(炭素)、P(リン)、S(硫黄)、Cr(クロム)の含有量がSUS304より多い

・まとめ

溶接したいなら「SUS304」を!コストを抑えたければ「SUS303」を!

・最後に

使用用途で材質はどちらでもいいというのであれば、SUS303の方がコストも抑えられるのでお勧めです。
溶接の後工程がある場合や、SUS304の機械的性質が必要なのであれば、SUS304でご指示ください。

(執筆 生沼)

ステンレス関連ページ

ブログをシェアする

スピード見積もり

「データ」や「図面」を添付するだけ!
最短即日お見積もり